相続登記は義務化されるのか?

事務所

初めまして。みずさき司法書士事務所へようこそ。司法書士の水﨑武彦です。

最近、相続登記が義務化されるなんて話を時折耳にするのではないでしょうか。

 相続といえば、遺言や遺産分割、登記、税金etc・・・・。いろいろあって何から手をつけよう・・・。親御さんの相続を長年棚上げにしたままだけどそろそろ始めないと‥。という方も多いのではないでしょうか?そんな皆さんにに今回は、相続登記の義務化を中心にわかり易くお話をして行きます。ある程度の知識をお持ちの方には、すこし退屈な内容かもしれませんが、ご容赦ください。

目次

相続登記のことならみずさき司法書士事務所にご相談ください。

Q:相続登記は義務化されるのですか?

A:はい、相続登記の申請は義務化されます。

 では、相続登記はなぜ義務化されることになったのでしょうか。それは、みなさんもニュースで耳にした事があると思いますが、「所有者不明土地」の増加が深刻な社会問題となったことが背景にあります。今回の相続登記申請義務化の目的はこの「所有者不明土地」の発生予防と土地利用の円滑化です。

Q:そもそも、:相続登記ってなんですか?

A:ある不動産の所有者が亡くなって、その不動産を相続人の方が引き継ぐと、登記簿上の所有者を亡くなられた方から相続人に名義を変更する手続きを行います。このように相続によって不動産の名義を変更する手続きを「相続登記」といいます。  

Q:いつから義務化されるのでしょう?

A:相続登記の義務化が始まるのは、2024年(令和6年)4月1日からです。注意していただきたいのは、施行日以前に発生していた相続にも適用される点です。

Q:いつまでに申請しなければならないのでしょう?

A:「不動産の所有者が亡くなった事実」と「自分が不動産の次の所有者となった事実」の両方を知った日です。

例としては、不動産を複数持っていた方がお亡くなりになって、「自宅と土地はオヤジの名義だったな」、「たしか、○○さん宅の横の空き地は生前からオヤジは自分の土地だと言っていた」、「月極駐車場は母さんに遺贈するという遺言がタンスからでてきた」、「わたしは、田畑はすべて長男○○に相続させるという遺言を預かっているわ」など「不動産を相続した」とあなたが分かった時点と考えて良いと思います。その日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。遺産分割協議によって不動産を取得した場合は「遺産分割協議が成立した日から3年以内」が期限になります。但し、令和6年4月1日より前に相続があったり遺贈を受けていたり遺産分割で法定相続分を超える持分を取得していた場合は、上記の、「不動産を相続した、遺贈をうけた」とあなたが分かった時点又は「遺産分割協議の日」と令和6年4月1日のいずれか遅い日から3年以内に申請しなければなりません。        
不動産登記法 第76条の2(興味があるかたは、ご覧ください。)       

Q:申請しないとどうなりますか?

A:正当な理由なく申請を怠ると、裁判所を通じて10万円以下の過料が命じられます。(正当な理由としては、相続人が多数で、戸籍謄本等の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合や申請人が重病の場合、財産について相続人間で争いがあるなど・・・が考えられます。

Q:やむを得ない事情があるけど、それでも申請しないとダメですか?

A:次に説明する相続人申告登記をしておくことで、相続登記の義務は履行された(果たされた)ものとみなされる(改正不動産登記法 第76条の3 第2項)ので一時的に相続登記を申請しなくても過料を命じられないようにする事ができます。しかし、これはあくまで暫定的な登記でなるべく早く相続登記を申請する事をお勧めします。また、相続人申告登記自体は義務でもありません。ただし、相続人申告登記後に遺産分割が成立して正式な相続人が決まったら遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません(改正不動産登記法 第76条の3 第4項)。

相続人申告登記とは  
                                                                 
相続人申告登記とは、不動産所在地の法務局で登記官に「登記簿上の所有者が亡くなって相続の開始があったこと」と「自分はその相続人であること」を申し出ると、登記官が「申告した人がその不動産の相続人である」ことを登記簿に記載する制度です。
登記簿は土地や建物の所在や面積、所有者の住所や氏名などの情報が、誰が見てもわかるように載っています。相続人申告登記を行うと、登記簿の権利部に相続人の住所・氏名などが記載されるので、登記簿上の「権利部」を見れば誰が相続人なのかが一目瞭然となります。
注意してほしいのは、相続人申告登記によって相続登記の義務を果たしたとみなされるのは申出をした本人だけという点です。申出した人以外に不動産を相続する権利がある相続人がいる場合、その相続人が相続人申告登記の申し出をしないとその方は過料を命じられるということです。尚、詳しい手続きについては司法書士にお尋ねください。                

Q:相続人申告登記にかかる費用はいくら?

A:相続人申告登記の申請自体には費用は発生しません。ただし、相続人申告登記に必要な添付書類を準備するために発行手数料などがかかります。 

Q:相続人申告登記のメリットとデメリットを知りたいのですが。

A:相続人申告登記のメリットとデメリットは・・・・          
① 相続の手続きを進めている途中でも、簡単な手続きで期限内に相続登記の申請義務を一応果たして過料を命じられない。
② 不動産を処分するときに結局、相続登記を改めて行う必要がある。(余計な登記申請をすることになります。)
③ 登記簿に住所氏名が載ることになるので、登記簿を閲覧した不動産業者などからいろいろと勧誘される恐れがある。
相続人申告登記は、過料を命じられないための暫定的な登記で、相続登記をしなければ不動産の活用もできないので(売買、贈与、交換、担保設定など)、よほどのことがない限り、きちんと3年以内に相続登記をした方が手間も一度で済むのでお勧めします。

相続と税金

続いては、税金のお話です。ここからは、税理士の関谷先生にバトンタッチして相続があった時に気を付けておかなければならない点について解説していただきましょう。

Q:相続すると納めなければならない税金ってなんですが?

A:相続により一定金額以上の財産を取得した場合には、相続税がかかります。その一定金額というのが、相続税の基礎控除といいます。相続税の基礎控除は、3,000万円+法定相続人の数×600万円という計算となっており、相続人の数によって増減します。取得した財産の金額等がこの相続税の基礎控除以下の場合は、相続税はかかりませんので税務署への手続きは不要です。

 まずは、財産がこの基礎控除以下になるかどうかが重要です。簡単に確認する方法としては、以下の方法があります。

・預貯金・・・・現在の残高

・有価証券・・・現在の終わり値

・土地(宅地)・・・・・固定資産税評価額×1.2

・家屋・・・・・固定資産税評価額

 これらの合計が相続税の基礎控除を上回る又は、基礎控除に近い金額になる方は、生前に税理士へ相談することをおすすめします。なお、上記方法はあくまで簡易的な確認に過ぎず他にも相続税がかかる財産もありますので、財産評価の留意点などは次回以降に記載します。

さらに相続登記申請にあたり、登録免許税もかかります。こちらは、目安として固定資産税の評価額に1.000分の4(所有権、持分)を乗じた金額です、なお一定金額未満の場合非課税となります。また、土地上の地上権や賃借権を相続した場合は1.000分の2となります。(評価額についての詳しい事は、税理士にお尋ねください。)

この記事のまとめ

・令和6年4月1日から相続登記は義務化される。

・令和6年4月1日より前の相続でも申請しなければならない。


・「相続人申告登記」をすると相続登記の義務をとりあえず果たしたものとして扱ってもらえる。

相続登記の申請義務を果たしたとされるのは申告した本人だけ


・ 相続登記をしないと不動産を処分できない。

相続税の問題も併せて進めて行く必要がある

 繰り返しとなりますが、相続人申告登記はあくまでも暫定的な登記で相続人である皆さんの権利を公示するものでは

ありません。不動産の活用を検討しているなら相続登記を進めましょう。

相続登記でお困りならみずさき司法書士事務所 司法書士水﨑武彦にご相談ください。税金のことでお困りなら関谷孝文税理士事務所(https://sekiya-souzoku.com/)までご相談ください。

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