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司法書士の水﨑武彦です。今回も知っておいて頂きたい相続に関係のある制度のお話しをしていきたいと思います。
「法定相続情報一覧図」とは何か?
ご家族のどなたかがお亡くなりになった経験のない方はピンと来ないかもしれませんが、たとえばご家族がお亡くなりになった方の入院費や葬儀費用や亡くなった方の税金等の支払いのために預貯金類の払い出しをしようとしても金融機関では、一定の証明書等がないと払い出しに応じてくれません。
金融機関が預貯金の名義人が亡くなったことを知ると、金融機関は預貯金を預金者のためにしっかり管理する責任があるため遺産となる預貯金を一部の相続人が勝手に引き出せないようにします。相続によるトラブルに巻き込まれないようにするためです。いわゆる「口座凍結」状態です。口座凍結を行うにあたり金融機関が死亡を知るきっかけとしては、ご家族が銀行に連絡したり、新聞の訃報欄などに掲載されたりすることです。
一度凍結された口座を再び利用できるようにするためには、主に三つの手続きが考えられます。
① 法定相続分による払い出しを求める。
② 遺産分割に基づいてする払い出しを求める。
③ 遺言に基づいてする払い出しを求める。
①から③までに必要な書類は異なりますし、各金融機関によっても異なるので、今回は①と②で共通する必要な書類である戸籍と今回のテーマの「法定相続情報」についてお話していきます。
上記①と②で必ず必要となる書類として、「戸籍」が必要です。と申しましたが、この戸籍は、亡くなられた方の死亡から出生まで遡って揃える必要があります。生涯一か所でお過ごしで、相続人も少ないケースならさほど問題になりませんが、他の市町村から転居してきたかた、再婚して相続人が沢山いる場合は戸籍の量も収集する時間もそれに応じて増えて行きます。それに加えて、金融機関に必要書類を提出してから凍結が解除されるまで2~3週間かかることもあります。
上の例で言えば、4金融機関に対して順番に進めて行くと(使った後、戻って来た戸籍を次の手続きでつかうと)全ての手続きが終わるのには3カ月程度かかる計算になります。
それなら、沢山戸籍を用意すれば?とも考えられますが「戸籍」は、種類によりますが、一通450円から750円が10通を超えることもよくあります。(ちょっとした電話帳ぐらいのボリュームになります。)そう考えると費用がかさみますね。
そこで、今回のテーマである法定相続情報制度によって新設された「法定相続情報一覧図」の出番です。
後で説明する書類を法務局に提出すると、登記官が証明(認証といいます。)した「法定相続情報一覧図」を交付してくれます。「法定相続情報一覧図」は無料です。しかも、5年間は何度でも交付を請求できます。「法定相続情報一覧図」は多くても数枚ですから持ち運びや管理の負担も戸籍に比べて少なくて済みます。
つまり、この認証文付きの「法定相続情報」を戸籍の代わりに使えば各種手続きを一気に進めていけるわけです。 ご注意いただきたいのは、この制度を利用できるのは被相続人(お亡くなりになられた方)の相続人(又はその相続人)です。また、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど,戸除籍謄抄本を提出することができない場合は,本制度を利用することができません。
・本制度は,無料でご利用いただけます!
手続きの流れを見ていきましょう。
それでは手続きの流れを見ていきましょう。
①必要書類の収集
・被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本及び除籍謄本が必要になります。
・被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票被相続人の住民票の除票が必要になります。。
・相続人の戸籍謄抄本相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本が必要になります。(被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要です。)。
・申出人(相続人の代表となって,手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類が必要になります。(運転免許証の表裏両面のコピーやマイナンバーカードの表面のコピーなど)
・上記以外でも相続人の住所を一覧図に載せる場合や、代理人に依頼する場合は別の書類が必要です。詳しくは法務局や司法書士などの専門職にお尋ねください。
②法定相続情報一覧図の作成
・被相続人(亡くなられた方)及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図を作成します。(一覧図の雛形(EXCE)がこちらにあります。必要な場合はダウンロードしてください。)
③ 申出書の記入,登記所へ申出
・ 申出書に必要事項を記入し,①で用意した書類,②で作成した法定相続情報一覧図と合わせて申出をします。
申出をする登記所は,以下の地を管轄する登記所のいずれかを選択することが可能です。
・ 亡くなられた方の本籍地(死亡時の本籍を指します。)
・ 亡くなられた方の最後の住所地
・ 申出人の住所地
・ 亡くなられた方の名義の不動産の所在地
*申出書の記載例、雛形はこちらからダウンロードしてください。
注意点
・法定相続情報証明制度は,戸除籍謄本等の記載に基づく法定相続人を明らかにするものです。そのため,相続放棄や遺産分割協議の結果によって,実際には相続人とならない方(相続分を有しない方)がいる場合も,法定相続情報一覧図にはその方の氏名等が記載されます。(つまり戸籍の代わりに使うことを念頭においた制度という事です。)
・再交付を請求できるのは、当初の申出において申出書に「申出人」として氏名を記載した方です(申出人とならなかった他の相続人は,再交付を受けることができません。)。また、5年間(申出日の翌年から起算)は保存されますので,この間であれば再交付を受けることができます
お疲れ様でした。
④ 上記③の登記官による確認が終わると,提出した法定相続情報一覧図は法務局で保管されて、引き換えに、認証文付き法定相続情報一覧図の写しと、戸籍類が交付されます。
⑤ 各種の相続手続への利用ができます。
まとめ 法定相続情報一覧作成のご相談は、みずさき司法書士事務所へ!!
・たとえば、法定相続情報一覧図を4通交付してもらってA銀行、B銀行、株式の処分や名義変更、相続登記申請を、一度にすすめられますね!
いかがでしょうか?このように、法定相続情報一覧図は使い買っての良い制度です。ぜひご検討ください。
しかし、法定相続情報一覧図を作るために戸籍を収集するのは忙しい方には大変です。また、長年放置されてきたため相続人の特定も困難な場合も少なくありません。そこで・・・・
本制度の申出は,申出人からの委任によって,代理人に依頼することができます。委任による代理人については,親族のほか,弁護士,司法書士,土地家屋調査士,税理士,社会保険労務士,弁理士,海事代理士及び行政書士に依頼することができます。
相談料は頂きません。お気軽にみずさき司法書士事務所へお越しください連絡をお待ちしています。