相続全般について知っておくべき知識

必要な知識を整理していきましょう

 

みずさき司法書士事務所へようこそ。 
司法書士水﨑武彦です。
 ここでは、まず相続のおおまかな流れや必要な手続き、その時期の解説をして次に個別の手続の詳しい解説をしていきたいと思います

全ての手続が必要とは限らない

手続きが多すぎて、どこから手を付ければ良いかわからない…」という方が多いのはないでしょうか。そこで、ここからは、多くの人に関わる重要なポイントだけに絞って、まとめていきますこの中には、相続放棄や遺留分侵害額請求など、全ての方に必要ではない手続きもあります。

相続の手続き・期限一覧

期限手続き
 7日以内(詳しくはこちらへ)・死亡診断書の取得
・死体埋葬火葬許可証の取得
・死亡届の提出
② 10~14日以内(詳しくはこちらへ)
・住民票の抹消届と除票の申請
・世帯主の変更届
・健康保険/介護保険の資格喪失届の提出
・年金受給停止の手続き/年金受給権者死亡届の提出
③ 葬儀後なるべく早い時期に・遺言書の調査・検認
・故人の財産調査
④ 3ヶ月以内・相続放棄または限定承認
⑤ 4ヶ月以内・故人の所得税の準確定申告
⑥ 10ヶ月以内・相続税の申告
⑦ 1年以内(詳しくはこちらへ)・遺留分侵害額請求
上記の③以降の任意の時期 ・遺産分割協議
*不動産の名義変更登記(詳しくはこちらへ)
・銀行/証券口座の名義変更
・生命保険金の請求

故人がお亡くなりになって3か月以内に必要な手続

相続放棄または限定承認

 相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

  1. 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
  2. *相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
  3. 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

 相続人が,*2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。ここでは,*2の相続放棄について説明します。相続人(相続人が未成年者または成年被後見人である場合には,その法定代理人が代理して申述します。)

 未成年者と法定代理人が共同相続人であって未成年者のみが申述するとき(法定代理人が先に申述している場合を除く。)又は複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して申述するときには,その未成年者について特別代理人の選任が必要です。

申述は,民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。詳しくはこちら(裁判所のHP)をご覧ください

・上記2及び3の手続をしなければ1の単純承認と扱われます。(この場合は特別な手続は不要。)

遺産分割協議による遺産の放棄と家裁での相続放棄の違い(重要)

「相続放棄した」とおっしゃる方のお話をよく聞いてみると、遺産分割協議をした結果、遺産を何も取得しなかっただけ(遺産の放棄)、ということがよくあります。これは、相続放棄ではありません。遺産分割協議の結果、遺産(土地建物・預貯金類・有価証券など)を何も相続しないという合意をしても家庭裁判所に対して申し立てる相続放棄とは違い、相続人でなくなったわけではありませんので、後から被相続人の負債が発覚したような場合には、負債については相続人になります
(詳しくはこちらへ)


故人がお亡くなりになって10か月以内に必要な手続

 相続税は、10ヶ月以内に申告する必要があります。もし、期限内に行わないと、法定のペナルティが課せられます。また、少なく申告してしまうと過少申告加算税が、意図的な脱税で悪質と認められるケースもペナルティが課せられます。収める相続税は、相続する不動産の評価額や、預貯金などの総額で変わります。そのため葬儀が済んだら、可能な限り早く、故人の遺産がどれくらいあるかの財産調査を進めていく必要があります。

主な相続財産
不動産土地、家屋、マンション、アパート、農地、山林、借地権など
現金、有価証券現金、預貯金、株券、貸付金、売掛金、小切手など
動産自動車、家財、宝石、貴金属、美術品など
そのほかゴルフ会員権、慰謝料請求権など
負債など借金、買掛金、住宅ローン、未払いの税金や家賃・医療費・慰謝料など
*特に不動産は、相続税がかかる・かからないを左右する大きな資産ですので、いちばん最初に評価額を調べておく必要があります。

*詳しくは税理士さんへお問い合わせください。
*興味のある方はこちらに税理士さんの簡単な解説があるのでご覧ください。

上記の③以降の任意の時期

・遺産分割協議

 遺産分割協議とは、相続が発生した際に、相続人全員で遺産について協議し、合意することです。      

 法定相続分や遺言の内容と異なる割合で相続分を決めることも可能です。
ここでは、遺産分割協議はどのように進めるべきか、その方法や注意点について説明しています。

 ポイントは相続人」が「全員」行わなければならない点です。遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ無効です。行方不明の相続人を除外して行ったり、亡くなった方が再婚で聞いたこともない兄弟が存在することを知らずにその子を含めずに行った遺産分割協議は無効となります。

 残念ながら遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判の手続きによることになります。遺産分割調停というのは、家庭裁判所での遺産分割の話し合いです。家事審判官(裁判官)をはじめとして調停委員が各相続人の意見を聞きながら話し合いが進められます。
 このような家庭裁判所の手続きに関しては、弁護士さんにご相談下さい。

 遺産分割協議は、いつまでにやらなければいけないというような期限はありません。
しかし、相続税に関しては、協議が確定していなければ受けることのできない軽減措置があり、申告期限内(相続開始後10ヶ月内)に協議が整わないと、このような相続税の軽減措置が受けられなくなる場合があります。(前のコラムをご覧ください。)しかし、相続税は基礎控除の割合が大きく、相続税がかからない場合には、相続税の申告期限までに協議を終わらせる必要はないということになります。

 相続人の中に未成年者がいらっしゃる場合、親権者である親が代理して行うのですが、親御さんも共同相続する場合には、親子の利害が対立するため、家庭裁判所に申し立てをして「特別代理人」を選任する必要があります。
 特別代理人は、親権者に代わってお子さんのを代理人として遺産分割協議を行います。特別代理人選任の申立書には、特別代理人の候補者を記載します。特に問題がなければ、家庭裁判所は申立書に記載された候補者を特別代理人に選任します。候補者としては、相続人と利害関係のない親族やご友人(司法書士など)もなることもできます。

 遺産分割協が成立したら、遺産分割協議書を作成します(相続登記を司法書士にご依頼く場合には、司法書士が作成します)。遺産分割協議書には、誰がどの財産をどのような割合で相続したのかを記載し、全員が署名のうえ実印で押印して作成します。なお、司法書士は特定の相続人の方に代わって協議に加わることはできませんのでご注意ください。
 遺産分割協議書には、誰がどの財産をどのような割合で相続したのかを記載し、全員が署名のうえ実印で押印して作成します。

 遺産分割協議書を作成できるのは(専門士業)、司法書士・弁護士・税理士・行政書士・の4つの士業者です。

 不動産の名義変更登記が必要なケース
「相続登記の義務」という話を耳にした方も多いのではないでしょうか。ここでは任意の期間に行うべき手続きとしてご紹介いたしましたが、近年の法改正で令和6年4月から、相続登記は義務化されるためやはり早めの遺産分割協議をお勧めします。こちらに、相続登記の義務化の記事(相続登記は義務化されるのか?)が有るので興味がある方はご覧ください。

・銀行,証券口座の名義変更,生命保険金の請求:各金融機関や生命保険会社にお問い合わせください。


まとめ


いかがでしょうか。駆け足で解説して参りましたので、「よくわからない」という方が多いのではないでしょうか
遺産分割協議書を作成できる人(専門士業)は、行政書士・司法書士・税理士・弁護士の4つです。
詳しいご相談は個別におこないます。相談料は無料です。(但し、出張の場合は日当を申し受けます)

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